2013/09/14 はばなのおもいで

ヒトは何故ハバナに行くのか。

カンクンから異様に席の狭いキューバ航空に乗って約一時間。ぼくのジュースを配るあたりでエンジン音が変化し、あきらかに下降していった。キューバ航空が安全性評価リストの下位を高麗航空と争っていたのを思い出した。ハバナにたどり着けるのか?

十数分後、なんとか生きてハバナに着いた。入国審査と税関検査を通り抜け、両替を済ませ、よく分からないままタクシーに乗ってホテルへ向かった。タクシーの車内から町を眺めると、あちらこちらで古いアメ車が走っている。路上で壊れている車も多い。ケネディ政権以来の経済制裁のせいだろうか。

到着翌日はハバナの二大イベント、ラム会社見学ハーシートレインの乗車で終わった。これらが無事に済むと、その後の二日は予定のない状態になった。しかもホテルのWiFiは一時間8ドル相当のチケット制である。

サッサと出国しようかと真剣に思った。

それでは何をしにハバナへ来たのか分からない。そもそも安い航空券なので、キューバ脱出日は変えられないのだ。片っ端からバーに入り、ラムを飲んで、適当に昼寝。

これこそハバナに来る意味である。

2013/09/14 はーしーとれいんのおもいで

よく旅行に出かけるが、あまり観光には興味ない。航空券を買って、成田空港行きのスカイライナーに乗ったら、それだけで満足するタイプである。美術館とか博物館は苦手だし。

キューバのガイドブックをペラペラめくっていると、チョコレート会社のハーシーが20世紀初期に敷設した鉄道が残っているとのことである。その名もハーシートレイン。キューバ唯一の電車で、1日3往復だそうである。どうせラム会社へのガイドを頼むので、帰りに駅で降ろしてもらうことにした。途中のハーシーという駅まで往復してみる。

が、旅行会社の返事は微妙に曖昧だった。
・電車が壊れると運休。
・停電すると運休。
とのことである。道理である。たぶんJRは口が裂けても言わないと思うが。

正式に依頼すると、旅行会社の人が駅に電話で確認してくれたが、駅員が電話に出ないとのことである。やむを得まい。

ラム会社で買い物をした後、ホテルに荷物を置いて、駅へと向かった。駅には電車が止まっていた。少なくとも写真を撮って帰れる。ガイドの兄ちゃんが駅のベンチに座っているオッサン (その後、車掌さんと判明) に聞いたところ、今日は電車が動いているらしい。すばらしい。ハバナ市街に戻るフェリー乗り場の場所を教えてくれ、そして兄ちゃんは去っていった。

ベルが鳴ると窓口があいたので、切符を買った。さらに手を石鹸水みたいなもので消毒させられる。電車に乗る前に消毒させられる話は聞いたことがないが、そういうものだろう。しばらくすると本当に電車が動き出した。

乗車中、さっきの車掌さんに運転席に連れて行かれた。意思疎通の手段に事欠く中、日本から来たというと、なぜか新幹線の運転士だと思い込まれた。誤解を解くだけのスペイン語力はない。さっきから左のポケットに入っている5ユーロ札を出したら、そのまま運転させてくれそうな雰囲気だった。

2013/09/14 きゅーばのおもいで

旅行先を選ぶ基準は色々だが、結果的に酒関係に落ち着くことが多い。酒関係と言っても、スコットランドのように酒造の場合もあるし、スペインのようにバー関係の場合もある。

キューバと言えばラム。

キューバでラムと言えば、普通はハバナクラブに行く。酒としてのハバナクラブに不満はないが、事前に調べた限り、ハバナクラブは製造過程を見せてくれない。要は単なるミュージアムである。そんなのイヤだ。

だが色々と調べても、ハバナクラブ以外の蒸留所に行ったという話は聞こえてこない。そもそもハバナクラブが唯一の輸出銘柄なので、ハバナクラブ以外の銘柄を知らないせいもあるが。

ハバナに駐在員のいる旅行会社に聞いてみたところ、ハバナクラブ以外で観光客が見られるラム蒸留所は二カ所しかない。らしい。基本的に国営企業なので、非公開の蒸留所に行き着くためにはキューバ政府の許可を得なくてはならない。らしい。思い起こしてみると、かなり前に日本の洋酒メーカーの人にも同じ話を聞いた。

二カ所のうち、一つがハバナ市内にあるとのことで、そこへのガイドを依頼した。

が、旅行会社の返事は微妙に曖昧だった。
・販売がメインなので、見学できたとしても20分くらい。
・原料がないと稼働しない可能性もある。
とのこと。道理である。たぶんサントリーは口が裂けても言わないと思うが。

正式に依頼すると、旅行会社の人が蒸留所に電話で確認してくれたが、見学の確約はできないとのことである。やむを得まい。

ハバナに着いた翌朝、ガイドの兄ちゃんにピックアップしてもらい、ラム会社に行った。ラム会社のオッサン曰く、ハバナでしているのは熟成とボトリングだけとのことである。だから、ここは蒸留所ではない。

ラム会社では最初にボトリング工程を見せられた。どう考えても酒造における最後の工程である。これで終わり?

かと思いきや、その後、ドアの後ろの熟成庫に入れてくれた。しかもカメラを出しても制止されない。左のポケットに贈賄用の5ユーロ札を持ってきたのがアホみたいだった。