5月で二回目となる横川へ行った際、その週に谷川岳・一ノ倉沢までトレッキングするのは道路閉鎖により不可能だと教えられたが、既に金曜日の休みを取っていた。谷川岳ロープウェイだけでも行ってみようかと思ったが、それだけでは旅行として少し物足りない。しかもライブカメラを見たところ、5月ともなれば残雪が少なく、かなり想像と異なっていた。谷川岳の残雪を見ようと思った昨年の時点で、リサーチ不足だった可能性が高い。
会社の休みはキャンセルできるが、僕の気分は三連休であり、既に金曜日に出社する気力は失われていた。どこかに出かけようと思って地図を眺めていたところ、新潟県の清津峡トンネルに行ってみたかったことを思い出した。
上越の里山は新緑の時期だろう。まだ夏のピークシーズン前であり、平日ならば、そこまで混んでいないと思われた。
東京駅から上越新幹線に乗って越後湯沢へ向かった。人が最も少ないと思われる、開館直後の時間帯に行きたかったので、行きは越後湯沢駅からタクシーを利用した。そもそも1本目の下り新幹線と、1日に数往復しかない地元の路線バスは、10分差くらいで接続していない。関東から公共交通機関利用での日帰りは、かなり厳しい場所である。
青空の下、新緑が眩しい。渓谷の川沿いには野生の花が咲いていた。トンネルの最奥部には水を張ってあるのだが、青空と谷が水面に映えている。想定通りの人出で、ゆっくり撮影できた。
しかし谷には残雪があり、日陰となる隅の方の景色を少々ブロックしていた。時期的に少し早過ぎたのだろう。ゴールデンウィーク後1回目の横川訪問ではリサーチ不足で失敗したが、上越国境をこえて新潟県に来てもリサーチ不足ではないだろうか。
残雪といっても、枝葉が落ちており、もはや茶色い物体と化していた。最初は気にならなかったが、何枚も撮っているうちに気になってしまう。LightroomでRAWファイルを処理する時にAI補正するしかない。
さすがに帰りもタクシーというわけにはいかず、ゆっくりと時間調整して、路線バスで越後湯沢に戻った。乗客は他に3人だけ。全員が清津峡トンネル最寄りのバス停から乗ったので、往路は僕と同じ運命だったのだろう。
このまま自宅に戻っても良かったのだが、近隣の六日町にカタクリの群生地があるとのことで、花を見に行った。5月中旬くらいが見頃だと読んだ気がしたのだが、もはやカタクリは跡形もなかった。実際、その日は立ち入り規制のロープを地元の人が片付けていた。六日町駅から結構な距離を歩いたが、無意味に終わってしまった。結局のところリサーチ不足であり、失敗から学んでいないのは明白である。
猿も木から落ちる。木から落ちた猿は、その後で何かを学ぶに違いない。そうでなければ厳しい野生の世界で生きてはいけないだろう。
人類としての僕は、知的には猿より進化している筈だ。内容のレベルはともかくブログを書いているし、掛け算程度の算数も出来る。どちらも猿には到達不可能な能力である。
そうとは言うものの、木から落ちても、実は大して学んでいないように思われる。これでも猿より本質的に賢いと言えるのだろうか。
人類の一員としての尊厳に疑問を感じつつ、新幹線で上越名物の笹団子を食べながら帰った。その疑問への回答はどうあれ、新幹線に乗れるのも、笹団子を食べられるのも、人類の特権である。
人類で良かった。
旅のしおり:越後湯沢
記載の時刻等は訪問時のダイヤです。
東京 0608 (とき310) > 越後湯沢 0722
越後湯沢駅 (タクシー) > 清津峡トンネル
清津峡入口 1212 (バス) > 越後湯沢駅前 1240
越後湯沢 1314 (JR) > 六日町 1336
・飯綱山
六日町駅前 (バス) > 塩沢郵便局前
・塩沢宿
塩沢 1631 (JR) > 越後湯沢 1649
越後湯沢 1708 (たにがわ86) > 上野 1814