ぐんまのおもいで

昨年の夏、湯檜曽温泉に宿泊し、谷川岳ロープウェイに乗って天神平でトレッキングをしたが、肝心の谷川岳は雲の奥に霞んでいた。どうやら紅葉の秋は混むらしいので、残雪のある時期に再訪しようと思っていた。

ロープウェイに乗って間近で谷川岳を見るのも悪くないが、一の倉沢までトレッキングすると谷川岳の雄大な岩壁を見られて絶景らしい。ただし冬季は道路が閉鎖となり、一の倉沢の入口である、一ノ倉沢出合まで行けるのは5月下旬くらいからのようである。ちょうど五月晴れの時期ではないだろうか。

ゴールデンウィークのメキシコ旅行から帰った後、ネットを見ていたところ、横川の鉄道保存施設に展示されている国鉄のEF58が塗装工事をしたとのこと。屋外展示なので汚れやすく、塗装が美しいうちに撮影しておきたい。横川も谷川岳も同じ群馬県内であり、オッサンの日帰り遠足としては悪くない計画になった。

それから毎日のように群馬県の天気予報を見続けていた。今年は梅雨前線の北上が早かったのか、どうにも天気が悪い。やっと5月中旬に晴れそうな日を一日だけ見つけたが、その日ですら一日中ずっと晴れるわけではなさそうである。このまま5月後半まで待っても天候が好転しない可能性を考慮して、まずは横川だけ行くことにした。

その晴れそうだった日は火曜日である。月曜に仕事を片付けてしまえば、さほど会社も忙しくないタイミングだった。起床時間を考えると高崎まで新幹線利用が望ましいが、混雑した電車には乗れない閉所恐怖症オッサンなので、平日の通勤電車は早朝に限る。横浜から初電の東海道線グリーン車に乗り、延々と各駅停車で高崎まで向かった。

高崎で信越線に乗り換えて横川に着くと、なんと鉄道保存施設は休館日だった。たしかに横川名物の釜めし荻野屋本店が火曜定休なのは把握していた。国道沿いの店舗も同じく火曜定休なので不思議に思っていたが、やっと理由が分かった気がした。世界が自分中心に動いているわけではないことに気付いたが、もう既に手遅れである。これ以上の被害を食い止めるべく、脇目もふらず高崎から新幹線で帰京し、急きょ午後から在宅勤務した。

その後も天気が良くない日々が続いたが、翌週になると、水曜と金曜は好天の予報だった。どちらも晴れるのは午前中くらいまでなので、結局のところ横川と谷川岳は日程を分ける必要があった。その金曜日に一の倉沢出合までのトレッキング道路が再開予定との事だったので、水曜日に改めて横川へ行く事にした。

そこから先は基本的に前週と同じである。それでも2回目にして満足のいく写真が撮れたし、荻野屋本店で釜めしも食べられた。

さすがの僕も学ぶのだろう。帰りの電車の待ち時間に、みなかみ町の観光案内に電話してみた。優しそうな声の女性に、雪崩の可能性があり、トレッキング道路の通行規制解除は延期になったとの冷酷な現実を教えられた。

結局のところ、世界が自分中心に動いているわけではない事を群馬で学んだ。

旅のしおり:横川

記載の時刻は訪問時のダイヤです。

横浜 0525 > 高崎 0750
高崎 0804 > 横川 0837

碓氷峠鉄道文化むら
・釜めし荻野屋本店

横川 1110 > 高崎 1141
高崎 1152 > 横浜 1413