ひっこし

人生には転機があると言う。転機は訪れるものというが、家康風に鳴くのを待っていても未だ訪れていない。家康を見習って待ち続けてもいいが、待ちくたびれてボケッとしている間に機会を逃す可能性もある。

今年は転機の年にしようと思った。鳴かせてみようではないか。秀吉チックな人生を目指そう。鳴かせる技巧はないかもしれないが、自らの意思である以上、鳴かせることは分かっているので、ボケッとしているうちに機会を失うことはない。アグレッシブにすることでリスクをヘッジできる。そんな投資機会が今までにあっただろうか。秀吉人生最高。

長年、新年の目標を作らないのが目標だったが、今年は敢えて目標を設定してみた。

・寿司屋でガリを食べる。
・天ぷら屋に行く。
・おでん屋に行く。
・カレー屋に行く。

目標初心者なので、こんなもんだろう。秀吉も急に太閤になったわけではない。

一月にオッサン達の新年の集いがあり、寿司屋でガリを食べた。握りの合間にガリを少々。ウニをもう一貫くださいと二回も言う僕にしては、ちょっと大人だ。出だしは上々。その後、天ぷら屋とおでん屋に行った。天ぷら屋は胃もたれを引き起こしただけだったが、おでん屋は素晴らしい。秀吉人生最高だ。

もうちょっとアグレッシブな人生を目指してみようと思い、Mixiからブログに移行することにした。引っ越しだ。動くだけならリスクは低い。どっこいしょ。

一方、急速に秀吉化している僕は、毎日3.5時間の通勤が嫌になってきた。秀吉なら、そんなものに坐して耐えるわけはない。信長から近所の領地をもらうだろう。動くだけならリスクは低い。どっこいしょ。新たな領地には家老と勘定奉行が必要なので、実家の倉庫からスヌーピー兄弟を連れて行くことにした。兄弟ともに僕よりデカい。僕は秀吉なので広めの部屋も止むを得ない。居城を固めるべく、草履とりにルンバも登用した。

そんなこんなで今月は引っ越し2件。1月にガリを食べ始めるところから、急速な進化である。来年は清州会議だ。

2014/07/07 ひらいずみのおもいで

年に二度ほどオッサンが集って旅に行く。今回は一年半ぶりに秋田の後生掛温泉に行った。東京から新幹線とバスで約6時間の旅。

原生林の中に温泉宿があり、宿から少し歩くと、原野の中に温泉が噴出している。ボコボコと泥とともに水蒸気が吹き上がっているのだ。夕暮れ時に行くと、なんとも荒涼とした世紀末のような景色である。

温泉からの帰り、平泉に立ち寄った。仙台に行きたいバーがあり、時間調整の必要があったのだ。時間調整なので、中尊寺と毛越寺の両方に行く時間はない。オッサン達には心の平安が必要なので、浄土を表現した庭のある毛越寺に行ってみた。

順路にそって庭を一周してみたが、庭に浄土は感じられない。避暑に行ったのに、梅雨の中休みで東京より暑いせいだろうか。お守りと一緒にカルタやら茶葉やら売ってる売店があるせいで、浮世の仕組みから逃れられないせいだろうか。拝観料を払った上、更にお賽銭を投じることに疑いを持ったまま本堂を参拝したせいだろうか。軽トラで芝生の手入れをしていたりして、浄土というよりはゴルフ場のクラブハウス前の池みたいだ。

世紀末は圧倒されるほど強く心の奥底に感じられるが、浄土は片鱗すらも感じられない。悟りからは程遠く、むしろ泥のような煩悩がボコボコ噴出している。仏の道は難しい。

2014/05/04 ちんくえてっれのおもいで

毎年、知り合いのオッサンと旅に出かけているが、なぜか今年はイタリアに行こうという話になった。ベネチアでオッサン二人ゴンドラ。

僕はさておき、知り合いオッサンはなかなかに忙しい。それでもゴールデンウィークの前半を上手く使いこなすと5日から6日の休みを取れることが判明した。

が、結局、そこまで考えたところで日程があわずに断念。

しかし、オッサンいないからといって、せっかく捻り出した5連休を無駄にするのか。

そこで昨年から気になっていたチンクエテッレに行くことにした。JALの羽田の深夜便がなくなったので、やや苦手なANAでどうも苦手なフランクフルト空港。それからパリへ行き、さらにジェノバ。そこで鉄道に乗り換えて更に約1.5時間。遠い。

天気は上々。そして村は美しい。ゴンドラはないが、それはやむを得まい。