2011/04/04 たひちのおもいで

土曜日にタヒチから帰ってきた。原発の影響で往復共にグアム経由 (給油とクルー交代) となり、ただでさえ遠いタヒチが更に遠かった。片道約14時間。文字通り座りっぱなしである。

とはいえ、今回の旅は、行くべくして行った旅と言っていい。
1. 地震の前日には予約と入金が終わっていた (タヒチはキャンセル料も高い)。
2. 地震の翌日に予定通り視力回復手術が受けられた (術後1週間目に検診に行かないといけないので、手術日が変わると出発できなかった)。
3. 行きの飛行機が予定日に飛んだ (3月末まで2便に1便は欠航していたから、スケジュール上で週2便でも、実質週1便だった)。

タヒチにはビーチと海があるが、それ以上のモノはない。とくに観光するような場所もないので、基本的には、朝食 >> 昼寝 >> 昼食 >> 散歩、水泳 >> 夕食 >> 睡眠という生活を送っていた。健全で理想的なバカンスと言っていい。

日本にいたとすると、昼食 >> 昼寝 >> 夕食 >> 睡眠となる。アル中養成生活と言っていいだろう。

言葉にすると随分と違うようだが、どちらも非生産的だから大差はない。

2011/03/29 おもいこみ

人生、予想と違う結果に驚くことは多い。結婚してみたら不幸せだったとか。

たしかに人生は結果的に予想と異なる方向に進んでしまうこともあるが、想定と本質が違っていることも多い。

世の中は結婚することは幸せであるという前提に成り立っている。しかし、それが必ずしも本質ではないことは多くの例証が物語っていることである。現状維持も地獄だが、手放すのは更に地獄という、銀座のビルのような様相を呈することも多い。

タヒチも誤った前提のもとに訪れた島だった。チケット購入から出発まで二週間。そのなかでのタヒチのイメージは「南半球にある温暖な島」ということだった。今年の冬は寒かったから、「温暖」は歓迎すべきキーワードである。この、大体において歓迎すべき雰囲気こそ、結婚の想定と本質に関する大いなる誤解に極めて近い。

タヒチ到着前、飛行機からはライトブルーの海が見えた。現実とは思えないような色の海である。まさに楽園だと思った。

しかし、飛行機が空港に到着してタラップに出ると、そこには現実があった。暖かいというよりは、むしろ熱気である。汗ばむ陽気。まさに夏である。この時期に南半球の温暖な場所に行くということは、夏の中でも特に暑い場所に行くことである。そして僕は暑いのは嫌いなのだ。理想と現実の違いを思い知らされた気がした。たぶん結婚して半月くらいすると、こういう気分になるのだろう。

幸か不幸かタヒチには厳格なドレスコードはない。空港を一歩出ると、短パン裸足のオッサンとか、薄着のおねいさんとかがウヨウヨしている。毛むくじゃらの足とか、余分な肉を露出することに抵抗のない文化らしい。僕も赤いアロハシャツと短いズボンに着替え、サンダルを履いてみた。

そうこうしていると、それなりに快適になってきた。ホテルにはエアコンもある。海に近いから風もある。翌日には暑さは気にならないほどだ。現実にあわせて生きていく術を身につけたようである。

結婚とタヒチは似ている。しかし、タヒチは本質的に善と言えるが、結婚の本質は誰にも分からない。

2011/03/29 たひち

1月に休職したとき、時間をもてあましたのでフランスとアメリカに行った話を母親の友達のオッサンにしたところ、暖かいタヒチに行けばよかったのにと言われた。タヒチは楽園だと言われたのだ。

基本的には暑いよりも寒いほうが好きだが、今年の寒さは体にこたえた。休職期間中に自宅にこもっていると引きこもりになるから、これを機会に暖かいところに行こうと思った。タヒチといえば常夏の島である。楽園である。

主治医から再度休職すべしとの診断書をもらった土曜日の夜にネットで調べていると、タヒチへはエアー・タヒチ・ヌイという航空会社が週に2便を成田から運航している。ほかにもニュージーランド航空で行く方法もあるらしいが、乗り継ぎが悪い。この時点でエアー・タヒチ・ヌイに空席が若干しかなかったので、とりあえず予約を入れた。週に2便しかないので、前後の予定を考えると、出発日と帰着日は自ずと決まる。選択肢がないと悩まなくていい。

しかし、タヒチに行くと決めたものの、タヒチがどこにあるのかも知らなかった。

基本的に、タヒチ、モルジブ、グアム、カレドニア、サイパン、フィジーは区別がつかない。たぶん全て太平洋上にあるとは思うが、もしかするとカリブ海とかインド洋にある島も含まれているかもしれない。ビザがいるのかもしれないが、その辺も不明なままである。

月曜日に例のオッサンに連絡すると、なにもすることがないのに、何故そんなに遠いところに行くのかと言われた。楽園じゃないのか?

しょうがないので、自分で調べた。

なんと日本からタヒチまでの飛行時間は11時間半程度であった。確かに遠い。日付変更線と赤道の先にある、フランスの海外県とのことである。

さらに調べてみると、中途半端に都会化されたタヒチ本島に行くよりも、なにもない離島に行くほうがいいらしい。なかでもボラボラ島はハネムーンの客が大挙して押し寄せる恐ろしい場所だということがわかった。そもそもタヒチというところはハネムーン客が行くところのようである。

そんなこんなで調べた中でも、蒸留所のある離島と、別の離島から船でいくプライベート・アイランドを見つけた。なにもすることがないなら、島でボケーっと本でも読んでいればいいのだ。

ここまで調べて予約までしたところで地震がやってきた。しかし後へは引けない。異様に高額なキャンセル料がかかるのである。前進あるのみ。