ねんまつねんし

いわゆる日本人らしい正月とは無縁の人生である。

そもそも年末年始は仕事が入るし、おせちはキライだし、初詣や挨拶回りには行かない。新年の目標というものも苦手である。数年にわたって年賀状の出し方について考えたことがあったが、結局、届いた年賀状に返信する受動的対処法で決着した。

昨年は12月30日まで仕事だった。最終日は在宅勤務だったので、時間の有効利用ができる。

デスクの右側に会社のPCを置いて仕事をしつつ、左側のMacで年賀状作成に取り組む。ハガキ印刷なんて年に一回しかしないので、色々と失敗しがちだ。失敗すると一枚あたり5円の手数料である。官製ハガキは恐ろしい。

仕事の片手間にプリンター設定で悩んでいると、裏表を逆に印刷してしまった。どうせ失敗するなら、悩むだけ無駄である。

元々の購入枚数が少ないので、どう対処すべきか悩ましい。郵便局はしまっており、プリンター設定より深刻な問題である。ファミリーマートで切手類を売っていたことを思い出し、年賀ハガキの追加を買いに行った。やっぱり悩むだけ無駄である。

そして印刷を完了した。せっかちなので、このままだと宛名を書いて、発送してしまいそうだ。自宅にいると、受動的対処からの逸脱になってしまうリスクが高い。

数年かけて辿り着いた原則を維持すべく、12月30日の夜は街に出た。正月らしい諸行事とは無縁の僕だが、年末のケジメはキッチリつけなくてはいけない。お世話になった飲食店めぐりである。

ところで夏の終りくらいから胃の調子が悪い。処方された胃薬を服用していたのだが、うまく解決できず、いまは漢方に移行している。おかげで症状は抑えられているのだが、ときおり食欲が爆発してしまうのが玉に瑕だ。

漢方薬に頼りつつも、暴飲暴食をしないことが肝要である。

12月26日に小規模な忘年会をしたが、完全な暴飲暴食になってしまった。その夜は満腹感で睡眠が途切れるし、悪夢も見た。

翌日になっても満腹感は消えず。食事を控えめにしていたのだが、深夜に食欲が爆発した。午前2時にチャーシューのせ月見うどんを食べてしまい、12月28日は朝から絶不調。

オッサンになると、消化にも体力を使うのだろうか。睡眠と消化のマルチタスクには非対応の模様。やっぱり暴飲暴食をしないことが肝要である。

さすがに失敗から学ぶべきだろうと思い、12月30日は焼鳥屋で控えめな夕食にした。そして2軒目のバーで、「適度な飲食」を来年の目標にすると宣言。もっとも、その夜は終電まで飲んでしまったのだが。

飲み過ぎて夜中に何度もトイレに行き、軽い二日酔いもあり、12月31日は昼過ぎまでゴロゴロしていた。

大晦日は夕方から近所の中華料理店とバーに行った。この日も当初は控えめにしたつもりだったのだが、あまりにも寒いので、ビールを紹興酒に変更したあたりからおかしくなった。中華料理店で最後にワンタンスープとチャーハン。そしてバーでウイスキー3杯。さらに家へ帰って年越しそば。

ワンタンスープかチャーハン、どちらかだけで良かったはずであり、バーも2杯で帰るつもりだった。結局、何も学んでいなかった。

元旦、昼過ぎに起きると胃もたれだった。まったく食欲がない。おせちが家になくて良かった。ふと思いついて体重計に乗ってみたところ、いつの間にか体重が2キロも増えていた。

改めて危機感を持った。もはや新年の目標が苦手などと言っている場合ではない。

旅のしおり:知床

3日半で交通不便な礼文島に行った弾丸旅行派の僕には、離島でもない知床に4日間というのは多すぎる気もしていた。最終日に晴れ間が出たので、それはそれで良かったのかも。

記載の時刻は訪問時のダイヤです。

1日目

羽田 0705 (JAL) >> 女満別 0845

博物館 網走監獄

宿泊:北こぶし知床

1日目 Tips
・観光客が行くべきなのは「博物館 網走監獄」であって「網走刑務所」ではない。カーナビには、そのへんのニュアンスが分からない模様。

2日目・3日目

知床五湖
知床自然センター (フレペの滝)
ゴジラ岩観光船という船を予約していたが、強風のため欠航。

4日目

・知床五湖
能取湖

女満別 1505 (JAL) >> 羽田 1700

4日目 Tips
・女満別空港からすぐのところに能取湖というのがある。ちょうどサンゴ草が赤くなる時期とのことで、立ち寄ってみた。

しれとこごこのおもいで

知床半島の魅力は大自然であり、撮影がメインの旅になった。一眼デジカメを持って歩き回り、美しい初秋の風景を残したい。

撮影が旅のメインだと、常に気になるのは天気である。雨は困るが、曇りも微妙だ。快晴とは言わないまでも、要所要所はキッチリ晴れて欲しい。

統計上、9月下旬~10月の網走方面は晴天率が高いようだが、晴天率は統計上の可能性であって、僕が行く日に晴れるという保証ではない。出発の前週から毎日のように週間予報をチェックしていた。曇りが続く予報だったが、大丈夫だろうか。

快晴の羽田から飛行機で女満別 (網走) へ。女満別空港に着いた時には晴れていたのだが、レンタカーの手続きをして車に乗った頃には霧が出はじめ、さらに天気は悪くなっていく。北海道らしい景色を楽しみたかったのだが、早々に諦めてホテルに向かった。

ホテルに着いて天気予報を見ると、夜は雨だが、明け方には晴れるそうである。その夜は数時間おきに天気予報をチェックしていた。

しかし予報は予報であって、本当に晴れるという保証ではない。

翌朝、起きて空を見上げると、雲が多い。天気予報を見ると、午後から晴れるらしい。まずはプレぺの滝を見に行った。それから知床五湖に行って、レクチャーを受けてからトレッキング。人出が少なくて、ゆっくり歩ける。知床の自然を満喫できた。しかし空を見上げては、ため息ばかりである。天気予報を見るたび、晴れ始める時間帯が遅くなっている。

結局、日没前に晴れたが、その頃には町に戻っていた。散歩がてら海岸に夕焼けを見に行った。前回のブログで写真を使った、美しい海辺の日没である。ただし美しい夕日を見るだけなら、それが知床である必要はない。

ホテルに戻って夕食と温泉。この夜も予報が発表される度に天気予報をチェックしていた。どうやら夜中から天気が悪くなるが、明け方には晴れるそうである。

しつこいようだが、晴天率は統計上の可能性であり、予報は予報であって、本当に晴れるという保証ではない。

3日目も晴れ予報だったが、起きると曇りだった。この日はクルーズ船に乗って海から知床半島を見る予定にしていたが、海上は風が強いようで、欠航の連絡が来た。最新の天気予報によると、午後からは晴れるらしい。ふてくされて午前中はホテルで寝ていた。

午後から再び知床五湖へトレッキングに出かけた。この日も空を見上げては、ため息ばかり。前日より多少マシという程度である。

夕方頃に知床五湖を出て、しばらく車を運転していたら、晴れ始めた。再びプレぺの滝トレッキングコースへ。途中で野原を通るのだが、ススキが日没前の斜光に映えていた。前回のブログで写真を使った、美しいススキ野原の日没である。ただし美しいススキを見るだけなら、それが知床である必要はない。

ホテルに戻って夕食と温泉。この夜も予報が発表される度に天気予報をチェックしていた。どうやら夜中から天気が悪くなるが、明け方には晴れるそうである。

くどいようだが、晴天率は統計上の可能性であり、予報は予報であって、本当に晴れるという保証ではない。

最終日の朝、空を見上げると青空が少し見えていた。統計と予報とが、現実と合致しても良い頃合いである。

帰京日だったが、帰りの飛行機までは時間に多少の余裕がある。早目に朝食を済ませてチェックアウトし、知床五湖へトレッキングに行った。上空には雲が残っており、知床連山は雲の中だが、始まりかけの紅葉と青空のコントラストが美しい。これこそ知床らしい初秋の景色である。

今回の旅では天気に悩まされた。知床には3泊したが、毎日、知床五湖のトレッキングに行っていた。それでも完璧とは言えない晴天が数時間だけである。

ちょっと不完全燃焼のまま帰宅。

帰宅後、Macで写真の整理をすると、なかなかスゴい風景だった。たしかに青空は少ないし、紅葉もピークではないが、自然が単純に美しい。

ガイドさんを頼んで、知床半島の奥地までトレッキングに行ったわけではない。それでも、知床五湖のみならず、プレぺの滝も、海岸の夕日も、日暮れのススキ野原も、味わい深い風景である。滞在中は天気予報ばかりに気を取られていたので、うれしい誤算である。

撮影が旅のメインだと、常に気になるのは天気である。それはやむを得ないだろう。それでも度が過ぎれば旅の楽しみを忘れてしまう。今回の旅は、知床へ天気予報を見に行ったような塩梅になってしまっていた。

どうあがいても、僕に天気を変える力はない。ゆえにグジグジと天気について悩むのは時間の無駄であり、精神衛生上も良くない。

無駄な心配をしがちなのが人生ではあるが。