しんねん

多くの人にとって2020年はCOVID-19に振り回された一年だった。僕も多少なりとも影響を受けたのだが、それ以外にも災難が多かった。7月に五十肩、9月にギックリ腰をやらかし、ダイエットにも失敗して11月からは糖尿病の投薬も始まるなど、後半はロクでもない日々だった。

一方、会社では7月に毎週のように貰い事故があった。それらは8月以降に重症化し、12月まで月1回のペースで重大なトラブルに巻き込まれていた。

集中力だけでサラリーマンをこなしており、会議は全力で避け、喫煙で中座することもない事務仕事である。実際のところ、仕事のクオリティ的には月間の残業は40時間が限界であると思っている。

そうと分かってはいるのだが、9月以降の残業は月45〜55時間レベルで推移していた。

これが続くと耳下腺炎を引き起こしがちなのだが、やっぱり12月に入って耳の奥が痛くなった。これまでは基本的に放置していたのだが、似たような痛みで中耳炎になったことがあり、災難が続いていることもあって、念の為に病院に行った。やっぱり過労、ストレスが原因と思われる耳下腺炎で、抗生物質とロキソニンで徐々に解決。

これ以上の状況悪化はないと思っていたのだが、その後、たまたま小火災に遭遇してしまった。初期消火の手伝いをしたところ、消防の事情聴取中に咳き込んでしまい、念の為と説得されて救急搬送。

念の為とはいえ、臨時の通院が12月に2回。ここまでくると、クスブリ人生というものではないだろうか。

以前に浅田次郎さんのエッセイで、クスブリは伝播するという話を読んだことがある。不幸の連鎖というやつだろう。

僕のダメ加減を他人に伝播させるわけにはいかない。

うつらない、うつさない。COVID-19対策でマスクをするように、お祓いに行く必要がある。

他力本願な神頼みは基本的に大好きであり、以前にも近所の有名神社へお祓いに行こうと思ったことはあった。その時は直前で挫折したのだが、昨年は勤務先のボスからもお祓いに行くよう勧められる事態だった。

COVID-19の時代であり、年始は初詣客で混みそうなので避けるべきだろう。それに、落とすべきものは、年越し前に落としてしまいたい。

12月最後の日曜日、満を持して神社に向かった。

日曜にしては珍しく午前中に起きるなど、僕としては前のめりで行ったのだが、神社側は至ってクールである。それはそうだろう。こちらは神様にすがりに行くのだが、向こうは頼み事の仲介をするだけだし、そもそも件数も多い。

社務所で申込書を書き、お金を払うと、内線電話で神主を呼び出してくれる。COVID-19対策で簡易バージョンらしいのだが、なんとなく機械的に「かしこみかしこみ」とやってもらった。あっさりと終了。他力本願というものは、この程度なのだろうか。それとも「祈願内容1件につき5千円からお気持ちでお納めください」という値段設定に対して、5千円しか払わなかった心意気が悪いのだろうか。

それでも祓い落とすべきものは昨年中に始末がついた。今年は振り回されることも、巻き込まれることも、遭遇することもない、マシな一年になって欲しい。

旅のしおり:北海道

1日目

羽田 — (おじゃる) — 新千歳空港 — (快速エアポート) — 小樽 — (JR) — 余市

・ニッカ余市蒸留所

余市 — (JR) — 小樽

伊勢鮨

1日目 Tips
・快速エアポートは指定席あり。千歳から札幌が想像以上に遠い。小樽は更に遠い。
・小樽から余市はJRで2駅、440円。たった2駅と言いつつ、北海道は大きいので意外に高い。

2日目

小樽 — (JR) — 札幌 — (特急おおぞら) — 釧路

修道院訪問

釧路 16:05 — (JR釧網本線)– 釧路湿原 16:23

細岡展望台

釧路湿原 18:24 — (JR釧網本線)– 釧路 18:45

2日目 Tips
・札幌から釧路までの特急は「えきねっと」の事前予約で乗車券部分も含めて半額。やっぱり遠い。移動時間中に寝ると思えば、千歳からの飛行機よりは良いかも。
・細岡展望台からの夕陽はすばらしい。日没前後の時間帯に列車があるので、車がなくてもJRで行ける。駅に戻る道中が暗いので、懐中電灯が必要。足元注意!!
・釧路名物さんまんま。自宅に送ってしまった。

3日目

釧路駅 — 釧路市湿原展望台温根内ビジターセンター — 釧路駅

トロッコ列車で釧路―塘路間を往復

酒房 千葉

3日目 Tips
・釧路湿原は阿寒バスで移動したが、レンタカーの方が便利だと思う。釧路駅前にレンタカー店があったので、1日くらい借りても良かったかも。
・湿原展望台の遊歩道よりも、温根内ビジターセンターの木道を歩く方が釧路湿原を体感できる。と思う。
・知人に紹介された、酒房千葉。地味な小料理屋さんといった店構えだが、仕事が細かい繊細系。すばらしい。この店と湿原を求めて釧路を再訪したい。

4日目

釧路 — (特急おおぞら) — 帯広 — 帯広空港 — (おじゃる) — 羽田

4日目 Tips
・釧路から羽田の直行便が欠航になり、やむなく帯広経由で帰京。
・帯広空港で豚丼のタレを購入。

おたるのおもいで

北海道に行くのは3回目である。1回目は子供の頃にスヌーピー塗装のANAに乗るためだけに行った。記憶は全くない。2回目は青森旅行のついでに、半日ほど函館に寄っただけだ。

本格的な北海道旅行は今回が初めてと言っていいだろう。釧路が目的地ではあるのだが、一般的に北海道旅行の目的地と言えば、寿司屋と余市蒸留所ではないだろうか (たぶん)。

夏休みを1.5日取って週末と組み合わせ、トータル3.5日の旅行期間となった。釧路は移動を含めて2.5日。残る1日は北海道らしい北海道を満喫したい。

旅行時点で東京都民はGo To Travelの対象になっていなかったので、マイルで航空券を取りたかった。まずは土曜朝に千歳へ向かう飛行機を予約した。そして蒸留所見学を予約。ホテルを決める前に、寿司屋の予約をしなければならない。札幌の寿司屋にするか、小樽の寿司屋にするか。悩ましい。

大都会の札幌は高級寿司店が多いが、市内での移動が面倒くさそうだ。小樽は港町をブラブラすれば楽しめそうである。札幌に泊まるよりも、小樽に泊まる方が効率的かつ経済的であるとの結論に達した。

朝一のJALに乗って千歳、そこからJR快速の指定席を予約しておいて、小樽へ。ホテルに荷物を預け、余市蒸留所に向かった。

あちらこちらと蒸留所には行っているが、余市蒸留所は初めてである。以前は自由見学も可能だったらしいが、COVID-19の影響で完全予約制になっていた。

余市で見たかったものは、石炭焚きのポットスチルである。ツアーで蒸留棟を通った時が、ちょうど石炭をくべるタイミングだった。ラッキーである。

有料試飲コーナーと蒸留所限定ウイスキー購入も欠かせない。有料試飲は一人2杯まで、ウイスキー購入は一人3本まで。同行した母親は酒を飲まないが、幸いなことに一人カウントだった。試飲したいウイスキーが4種類、買いたいウイスキーが3種類で各2本。悩まなくて済む。母親に感謝の念を伝えたところ、こんな時くらいしか感謝しないだろうとのこと。

小樽と言われて思いつくものはルタオのチーズケーキである。せっかくなので本店に行ってみたい。しかし僕は糖尿病予備軍だった。寿司屋ではコメを大量に食べ、コメ由来の酒も大量に飲む予定である。その前にチーズケーキを摂取するのはマズいだろう。やむなくルタオ本店は断念した。

やることもないので、街へ散歩に出た。COVID-19のせいか観光客が少ない。ちょっと寂しくなってくる程である。人力車もガラス工芸店も暇そうにしていたが、どうにも観光地らしい店は苦手なのでパス。観光振興という政策に合致した行動は取れなかったが、そもそも数日の差でGo To Travel対象外なので、日本政府の政策なんてどうでもいい。

秋の気配を感じながら、釣人に紛れて夕刻の港を歩いてみる。天気が悪いせいもあるのだろうが、情景が寂しい。イメージ通りの、北の港町である。

きらびやかな札幌よりも、きれいな風鈴を売っているガラス工芸店よりも、寂しい港町が僕には似合う。と思う。それに寿司屋も美味しかった。

小樽に来てよかった。北海道らしい北海道 (たぶん) を満喫できた。