たいぺいのおもいで

今年のオッサン旅行は行き先が決まらず。春先から、イタリア、スペインあたりを検討はじめるも、決めきれないまま時は移ろい、秋になっていた。こういう状況になると手段が目的化するのはありがちなことで、とりあえず近場に行くことになった。今年の旅行は今年中に済ませてこそ、今年の旅行と呼ぶにふさわしい。

検討の結果、台湾になった。シンガポールほど遠くなく、香港ほど派手ではなく、ベトナムほど異国感はない。

台湾経験者によると、台湾で良かったのは故宮とのことであった。それに台北郊外の九份という町も風情があっていいらしい。しかし、美術館の類は苦手だし、観光地らしい観光地も苦手である。故宮も九份も止めた。

故宮と九份を除くと、台湾の観光はかなり地味になる。地方への小旅行をして、あとは台北をブラブラしているしかない。昼は問屋街を、夜は夜市を歩く。

夜市を歩いていると、屋台で立ち食いということになるが、人ごみの中、どうも落ち着かない。それに油がきついので飽きる。通りがかりに苦茶というのを発見。油をお茶で洗い流してリセットしようと思うが、お茶の苦さにダブルパンチを受ける。

地味だが台北は手強い。

すいすのおもいで

誰が決めたか知らないが、夏の海は何故か暑い。太陽は燦然と輝いているので日焼けもする。ビーチを歩くと靴に砂が入るし、海は泳ぐと塩辛い。

だからこそ人間は室内プールを発明したはずなのだが、それでも夏のビーチは盛況だ。ニースもアマルフィも夏はセレブ値段である。そんなにトップレスおねいさんが見たいのか。

合理的な判断をするのであれば、夏は山に行くべきだと思う。なにより涼しいし、木陰に隠れれば日焼けは防げる。運が良ければホテルに室内プールがついている。

問題は、山は登らなくてはいけないことである。そこに山があるから登ると言った人もいたらしいが、そこに階段があるから積極的に登るという話は聞いたことがない。むしろ人間はエレベーターやらエスカレーターやらを発明した。登ることは文明の力で避けるべきことなのだ。

スイスには登山鉄道が走っている。これは、人類史上、室内プールと並ぶ画期的な発明といえる。山に登らずして、3000メートル級の山に登れる。スイス人のアプトさんが考えたアプト式で電車がグイグイ登ってくれるのだ。ビバ・スイス。ビバ・アプト。

残る唯一の問題は、気温が低いせいか、山にはトップレスおねいさんがいない。この問題の解決には地球温暖化がカギとなる可能性があるが、地球温暖化のもたらす影響については、スイスの連邦制なみに複雑なので予断は許されない。