なりたくうこうのおもいで

なりゆきで急にシンガポールに出張することになった。出張ということは仕事であり、それは英語にするとビジネスではないかと思ったものの、席はエコノミーである。

ときは夏休みシーズン。マイルを貯めているJALは正規料金しか空席がなく、なんとなくシンガポール航空。今年はエールフランスに乗ってみたり、どうも無駄に飛んでいる。

行きは朝の羽田便か、昼前の成田便ということだった。早起きして羽田に行っても得るものは何もないので、久々に成田の第一ターミナル。梅雨の中休み、空が高く青い。こういう日はビールに限る。昔の記憶を辿るとギネスをおいているバーがあり、なにはともあれバーに行ったものの、アサヒに変わっていた。

眼の前ではルフトハンザの飛行機が出発しようとしており、このままスーパードライを飲んでシンガポールに行っていいものか悩む。ドイツへ行って、デュンケル、バイツェン。そのあと乗り継いでダブリンでギネス。そんな人生があってもいい。

しかしバーにギネスがなかったという理由で、ルフトハンザに乗せてくれるかどうか疑わしい。そんな理由でクビになるのもイヤだ。人生とは自由なものではないのかもしれない。

自問自答しているうちにルフトハンザは飛び立ち、スーパードライは3杯目になっていた。

ぱりのおもいで

写真: パリ (イメージ)

羽田を深夜に出発するJALのヨーロッパ便がなくなって以来、ANAのフランクフルト行きに乗ってみたり、JALでエールフランス運航のコードシェア便を取ってみたりと悪戦苦闘したものの、どうも使い勝手が悪い。

結局、以前に使っていたエールフランスに戻ることにした。強引な日程での旅行が多いなか、なかなか考えられた時間にフライトがあって都合がいいのだ。本数も多いし。

エールフランスに乗るとなると、必然的にパリへ行く羽目になる。パリには必然的にフランス人がおり、彼らは必然的にボンジュールと言っている。必然的にシルブプレ。

ロンドンから東京へ黙って帰ればいいものの、せっかくなのでパリで乗り継ぎ9時間。

パリには世界最古のデパートがあり、派手なシャツを売る店があり、僕の人生史上最高のレストランの一つがある。

パリの問題点は、パリにはフランス人が大勢いることであり、彼らは20時位にならないと夕食を食べ始めず、チーズを食べた挙句、デザートまでワインで通す。それからリキュールを一口。夕食の後で23:20発の東京便に乗るようなライフスタイルではない。

シャツもデパートもいいとして、夕食は時間的に無理があり、悩ましい。

ところが情報化時代のおかげである。検索の分野においてGoogleはいい仕事をしており、パリナビにはいい記事が出ている。

お店に問い合わせたところ、19時半の開店と同時にゴングを鳴らし、23:20のエールフランスに間に合ってみようということになった。

Restaurant Salon de thé KOKORO

ちょっと駆け足で、前菜、メイン、デザート、ワイン。

時間があれば、前菜、メイン2皿、デザート2皿ってコースもあり、チーズもつけて、そっちが良かった。今回は乗り継ぎであり、止むを得まい。

次回はゆっくり行きたいものだと思いつつ、21時過ぎにタクシーで空港に向かった。そして余裕で東京行きに乗った。めるしー。

ろんどんのおもいで

ベネチアからオリエント急行でロンドンに向かった。

ブリテン島では基本的にスコットランドを目指すことにしており、乗り継ぎなど以外、あえてロンドンに滞在することはない。今回もオリエント急行に連れて行かれるがまま、なんとなくロンドンに行ってしまったようなところがあり、どうもロンドンは食わず嫌いである。

拒否できないときのみ、止むを得ず。僕の中ではロンドンと生牡蠣は同じポジションである。

どうもロンドンは微妙だと思っていた。物価は高いし、発音できないような地名は多いし、わざわざ行きたいようなレストランもない。

今回のロンドンではビール醸造所に行ってみた。ここ数年、cask conditioned aleという、ハンドポンプで注ぐエール・ビールに興味があり、日本では飲む機会も少ないので、試飲がてら見に行こうかと思ったのである。

Tubeにのってロンドン郊外のFuller’s Breweryへ。テムズ川沿いにあるLondon Prideの醸造会社である。

醸造所の脇に直営のパブがあるが、金曜の午後に行ったせいか、すでに従業員が飲み始めていた。全体的に週末の気分が漂うなか、気のよさそうな爺ちゃんのガイドでツアー。ビールの製造工程はウイスキーの製造工程の前半とほぼ同じなので、たいして発見はない。むしろ興味は試飲場で、ポンプ式のサーバーはどういう構造になっているのか、である。「どうなってるのよ?」と聞いたところ、いろいろ説明してくれて、「じゃ、やってみろ」とのこと。

つまりは、そういうことである。人生、試して分かることも多い。食わず嫌いは良くないと思ったが、それでも生牡蠣はイヤだ。